概要
あたしはクラスメイトのゆうやに誘われて、市内で開催中の「世界の秘宝展」を見に行った。あたしがずっと見てみたいと思っていた「アクアリュージョン」が来てるんだ。別名・とわの瞳。透き通った青い眼はあたしを異界に誘った。ウソみたいなホントの話で、次に目覚めた時、あたしは見知らぬ不毛な荒れ地の真ん中に立っていた。
ボーダーランド、あたしはそこでジュンのINNにお世話になった。ジュンやみんなが言うにはあたしは「アクアリュージョン」と「フゥリュージョン」という二つの世界を一つにするために、ここに呼ばれたんだって言う。そして、その役割をもらってここに来た人たちのことを「挑戦者」と言うらしかった。
無理矢理に挑戦者にされたあたしだったけど、帰ろうと覚悟を決めた。あたしが帰るにはフゥリュージョンというアクアリュージョンの片割れを見つけ出せばいいんだって。あたしはジュンとレンからレイピアとノートとペンをもらって、彼らの息子・ユメと一緒に旅に出た。
旅の途中、この世界で“賢者”と呼ばれた学者さん、ヨウの元を訪れた。幾つかの謎が解けるかと思っていたけど、ちっとも要領を得ない。結局、ヨウも学者と言うだけで、よくあるゲームみたいに全部を知ってるワケじゃないらしかった。答えを見付けるには自分で動けと言うことなんだね。
ヨウのうちを出たあとで、あたしはベリルのリンネに会った。この世界、アクアリュージョンの純粋性を保つために挑戦者たちの思いを砕く。それがベリルだった。
その後、大断絶の淵であたしは飛竜に会った。名前はクロウ。いけ好かない変なやつだと思ってたけど、ホントはいいやつだった。りんご一月分で最後まで付いてきてくれるって。あたしとユメはクロウの背に乗って、大断絶を渡ろうと思ったら、左の彼方に不自然に途切れた全長三キロにも渡る鉄橋が目に入った。見に行こうと言えば、シャンルーと言う名の親父がいると変なことを言ってクロウはとっても嫌がった。けど、あたしは強引にシャンルーに会いに行った。シャンルーは煌めく不思議な瞳をもって、あたしを見詰めた。
あたしたちは大地に横たわる亀裂を越えて、ノーシーランドに渡った。その最初の朝。クロウは恋人に会いに行くと言っていなくなった。それは構わないけど、歩く時に限って、嫌な連中と会うものだ。ベリルの尖兵。そいつは「挑戦者」のあたしがどんな人なのか見に来ただけだと言っていた。彼らの目的があたしにはよく判らない。
何とか、そいつらをやり過ごした頃に、クロウが帰ってきた。あたしたちの翼が帰ってきたところで先を急ぐ。ユメの言う、あいつと会うために。
あいつはりんいちと言って、ノーシーランドの森の奥に住んでいた。七人目のファイナリスト。りんいちは言った。「あたしはあたしのままで居られるのかな?」チャレンジに関した発言はそれだけだったけど、もの凄く意味深だった。りんいちから小さなアドバイスをもらって、あたしたちはうち捨てられた街・フォーレスタに降り立った。
そこには飛竜のマイに連れられてシェンリースーのマスターがいた。伝えたいことがあるんだって。けど、伝えたいことを全部聞く前にあたしはどこかに連れ去られた。その先で見たのは、あたしのゆうや。ここに来るまでに知った幾つかのことはあまり参考にならない。虚ろな目をして剣を振るゆうやを前にあたしは何をしたらいいのか。あたしにゆうやは殺せない。だから、あたしには体を張ってゆうやを止めることしかできなかった。けど、それが正解だったみたいで、あたしはアクアリュージョンのパートナー、フゥリュージョンを手にした。
でも、まだ終わらない。フゥは帰るための扉を開ける鍵なんだ。扉を見付けて、それを開けると初めて、二つの世界は一つになる。その最後の場所はシャンルーの架け橋だった。フゥリュージョンは言った。「疑わず、信じること」あたしは信じる。信じるほかない。途切れたシャンルーの架け橋の向こうにも、見えないだけで、その鉄橋は向こう岸まで繋がっていると信じ切る。あたしは鉄橋の作業通路を走る。空からは行けない。鉄橋の狭い空間からだけ、あたしたちの世界に通じてる。
あたしは鉄橋を走りきり、二つの世界の境界を越えた。そして、二つの世界は一つになる。
世界が元の姿を取り戻したら、もう一度、出会おう。あたしはユメと約束していた。今度はあたしがゆうやを誘ってそこに行く。ユメ、セイ。会いたかったよ。と感動の再会もつかの間に、ユメは石英で出来た手のひら大の球をあたしにくれた。嫌な予感がする。
と思っていたら、予想通り。あたしの冒険はまだ終わらない。 |