sharon

12 伝承を受け継ぐもの……終わりは新たなる物語の始まり……。伝説はまだ続く。


 

(……私はリョウを……皆を騙している……。このままでいいの? 私が――死にたくなかったばっかリに……他の人を巻き込んでもいいというの? 私は……私は……何。今まで……私は何をしてきたの……かしら。――リーフを殺させるため? フェイとリョウを訣別させるため? シャロンを生贄に捧げるため……? こんなんで終わって私はいいの? こんな……こんなことを望んでいたっていうの、私は……。違……う。こんなんじゃなかったはずなのに……。誰も……、誰も……死なないはずだったのに……。こんなのって……) 

〈勝機は自分で勝ち取るものとして、お前は何をどうする気なのだ。――お前程度の剣術。いや、いや〉黄泉は首を左右に振った。〈違うな。確かにお前の剣術の実力は認めてやってもいいが、所詮、人間ごときでは私を倒すことなど叶わぬ。――知っているだろう。私をこの狭い空間、次元の狭間とでも言おうか、に閉じ込めた奴は少なくとも神だったのだよ。十二神の総攻撃に疲弊していたとしても人間ごときには私を封印することはできない〉 
 人間に対する嫌悪感がそう言わせているようだった。自分よりも遥かに下等だと思ったものはとことんまで蔑むのだろう。また、黄泉の実力、魔力が人間を遥かに超越していることも否めない事実だったし、その埋めきれない実力差をリョウはひしひしと感じていた。 
「しかし、そのごときに封印を解かせたのだろう」 
〈人間はそれくらいしか使い道がないということだ。だが、お前ならより私の近くにいた人間どもより役に立つかもしれぬな。――どうだ、お前。私の下僕にならぬか。お前ならそこに転がっている馬鹿どもより役に立ちそうだ。……下僕になれば、お前の恋人を生き返らせてやってもいい。悪い条件ではないと思うが……?〉黄泉はほくそ笑んだ。 
「……そうやって、フェイをたぶらかしたのか」リョウは下唇を噛みしめた。 
〈たぶらかすほどの価値もなかったさ。あれは自分の欲だけに取り付かれただけの男。封印が解けてしまえば用事はない。あとは余興だ。あの男がお前をどうするのか興味もあったしな……。あれはお前を復讐の対象として見ていた。あの娘がお前にほれ込んだその日から。……あれはピクサスなどよりも先に私の波動にかかったよ。お前を打ち倒す力が欲しかったのだろうな。約束の通りに力はやったがそれだけのこと。使いこなす術を知らない者には仇をなすだけのものだ。――話がそれたな。どちらにしろ、あれはお前を倒せば娘が振り返ると信じていたらしい。結局、あれは自分の手でその愛した娘を殺してしまったのだが〉黄泉は高笑う。 
「何がおかしい!」リョウは剣を握り締めまま怒鳴った。 
〈哀れだというのだよ。あの娘が地下牢にお前を助けに行ったときあれは女に裏切られたと思ったのだろうな。最初から女はお前の虜、あれには何の興味も抱いていなかったというのに。実際、哀れだろう? 最後の最後まで見せ付けられたのだから〉 
 リョウは黙った。何て答えたらいいのか判らない。ここまで来たしまった訳は予想以上に煩雑で訳が判らなかった。運命の悪戯というには複雑で、どこか妙に出来過ぎている様な気がしてならない。ピクサスだけならまだしも自分の身近な者たちがこんなふうに巻き込まれていくとは思っていなかったし、自分が“悲劇”とも言うべきことの中心付近にいるとは思いも寄らぬことだった。しかも、手を下す側に回ろうとは。 
〈お喋りはこれくらいにしておこう。ゆっくりとしている時間はこれ以上ないのでね〉 
「行かせない。お前にこの町を好き勝手にさせるわけにはいかないんだ」 
〈人間どもが好き勝手にやったのがこのシャリアンの姿ではないのかね。お前は見たか? あの城下町の有り様を。正規軍による市民の大虐殺だ。市民による更なる弱いもの叩きだ。それがお前が私から守りたいと思った人間どもの姿だ。今更、私が手を下すまでもない〉 
 突き刺さるような鋭い視線をリョウに向けた。慈悲の欠けらも容赦もない恐怖の象徴とも言える真紅の瞳。それがリョウを射抜くかのように睨み付けているのだ。 
「ほざけ。俺はお前そのものの存在が赦せないだけだ」 
 そう言うリョウの背中からはあぶら汗が流れ落ちる。リョウはリーフの剣の柄を強く握った。剣の先がそれに反応してぴくりと動いた。黄泉がその微妙の動きに気が付いていないはずはない。そう思ってもリョウは剣を振るうしかなかった。圧倒的で絶望的な力の差は歴然。しかし、黄泉を止めるには選択の余地はない。リョウには剣しかないのだ。 
 黄泉はリョウの行動を見透かしたように、面白くもなさそうに見詰めていた。 
 リョウは可能なかぎりその気配を黄泉に感じさせないように、とは言っても不可能に限りなく近い、攻撃を仕掛けようとした。黄泉が瞬間的に視線を逸らした。軍団長を見ている。それが意図的な作戦なのかどうかはリョウには判らない。ただ、好機だと思った。理性が判断するよりも先に体が動いていた。けれど、黄泉の目が動いた。ニヤリと口元を歪めると左腕をリョウの方に突き出した。同時にリョウは風圧を感じ後に思いきり壁まで吹き飛ばされていた。 
〈人間にしてはなかなかやるな。だが、人間であることがお前の限界のようだ。死ね〉 
「そう言うわけには」リョウは口に溜まった血を吐いた。「いかねぇんだ。約束しちまったのさ。リーフにもシャロンにもな。――お前を封印の奥底に埋めてみせるってな」 
〈その体で何ができる? 今の衝撃でお前の体は言うことなど聞いてくれまい。……やはり、死んでもらうよ。お前は私にとって明らかに障害となる存在だ〉黄泉は左の掌をリョウに向ける。 
 リョウは黄泉の言うように動けなかった。体中にしびれが走り自由になるのは首くらいだ。そのリョウに黄泉は手をかざす。まさに絶体絶命。黄泉の血のように赤い瞳の色がさらに深く染まってゆく。リョウは徐々に増してゆく空気の圧力を感じていた。 
〈さらばだ、クレアの若造〉 
 そこから、リョウの記憶はしばらく消し飛んだ。が、黄泉に吹き飛ばされたのはリョウではなかった。軍団長がリョウと黄泉の間に割り込んでいたのだ。思うよりも先に体が動いた。今、リョウを失うことは得策にならないと本能的な状況判断で勝手に動いた。 
「リョウを殺させるわけには――な。お前にゃあ歯が立たなくともこいつの盾くらいにはなれるのだ。お前を封印するまでは死んでもらっては困るんだ」軍団長は詰まる息遣いで言う。 
〈たかだか、数分生延びただけでは何も変わることはない……〉 
 黄泉は蔑みの表情を見せながら言った。こう言った人間の行動が理解できないと言った様子で軍団長を見詰める。それから、躊躇する理由もないことから再び、行動を開始した。 
「もう……やめて……。誰も……これ以上、私のところから……奪っていかないで……」儀式の間の入り口の方から人の気配とともに女の声が聞こえた。半分、上の空のようで、それでいて切実のようでもある。それはふらふらとした頼りなげな足取りで姿を現した。「こんなはずじゃ、なかったのに……。こうなるはずは、なかったのに……」 
〈お前は何しに来たんだ? わざわざ私に殺されに来たのか? 跡形もなく消し去られたいのか〉 
 女の耳には黄泉の言うことは届いていないらしかった。ボーとしたような奇妙な雰囲気を漂わせながらリョウの方に近付いていた。この狭い空間の重たい空気を感じることなく彼女は動いていた。自我を失った人形のように。けれども、自分がしに来たことだけは忘れていないようだった。いや、明確な意志をもってこの場に現れたようだ。彼女自身にかかったあまりの緊張感がそんな一見、不思議な行動をとらせているのかもしれない。 
「私を殺して……」唐突に女は言った。「そうしたら、……終わるから。もう、誰も……」 
 リョウは心臓が飛び出しそうになるくらい驚いて、思わず声のしたほうを振り向いていた。聞き覚えのある声色とシルエット。それはピクサスの悪趣味な部屋に置いてきたはずの人物だった。 
「ティアか……。何でここに来た。俺はピクサスの部屋にいろと言ったはずだ」 
「もう、いいの……。――私一人のために、もう……三人も死んでしまった。……このまま……で、いたら、リョウも皆死んじゃう……。そんなの見たくない。そんなの見たくないから……」 
 ティアは涙を流しながら言った。ティアは最初から全部を知っていた。 
「それはお前には関係のないことだ。黄泉が大人しくしている間に上に戻れ。俺が何とかする」 
 ティアは大きく首を横に振った。つぶらな瞳に溜まった涙の雫が振り払われて、辺りに散る。ティアはもっとリョウに近寄ると隣にぺたんと座り込んだ。それからもう一度首を横に振った。 
「お願いよ……、リョウ。――私を殺して。私の血で黄泉を封印して。……リョウ。ホントは知ってたんでしょ? 私が双翼の片割れだってことに。――私……シャロンと同じ日に生まれたのよ。女神・シャロンの血を引くものとして。私も……今日で十八なの」 
〈やはりそうだったか。思った通りだな。シャロンとティア、双翼の娘たち〉 
 黄泉は不敵な笑みを浮かべた。自らの封印の鍵になる娘が目の前にいるというのに余裕の態度だ。まるで、リョウになどティアを殺すことはできないと高を括っているようでもある。実際、黄泉の思考の通りだろう。だから、リョウはティアを階上に残してきたのだ。 
「今更……気を使ってくれなくてもいいよ。ホントは私、全部知ってたから。誰も……、誰も言及してこないのをいいことに、もう一人、シャロンを捜して私に目が向かないようにしてた……。だから、悪いのがいたとしたら、フェイじゃなくて、ほんとは私なのよ」 
 ほとばしり出る感情が止まらない。留め金にしてきたはずの何かが外れた。多くの命を犠牲にして自分がのうのうと生きていることへの罪悪感がティアをそんな行動に走らせたのかもしれない。 
「私を殺して……そうしたら……全部……終わるから……」 
 殺さなければならなくなることを怖れてリョウはティアをピクサスの部屋に置いてきたのかもしれなかった。甘ちゃんの考えだと判っていても、まだ、間に合うほうに賭けていたのかもしれない。そうだったら、シャロンを殺さずとも封印を強化することが可能だった。自分の関係者からこれ以上の犠牲者を出したくなかった。 
「私の血で黄泉を封印して、お願い、リョウ! もう、これしかないのよ。黄泉に跡形もなく消される前に私を殺して」それはもう切実な願いだった。“ドコデフミハズシタノカ”ティアは思う。 
「殺せ! リョウ。そいつがそうなることを望んでいるんだ。そうすればこの野郎は封印されるのだろう。情があって殺せぬというのなら俺が殺す。女! 俺の前に立て。望み通りにしてやる」 
 軍団長は言った。ティアは軍団長の方に静かに歩いてゆく。 
〈そうはさせぬ。簡単に封印されてしまったのでは神の名が泣くわ。消えろ、娘〉 
「やめろー! 黄泉め」 
 渾身の力を込めて軍団長は立ち上がると、ティアの前に立ちはだかった。その瞬間後、軍団長の姿はそこにはなかった。いつか、フェイがリョウの前から突然掻き消すように姿が見えなくなったときと同様だった。そこに人がいたという痕跡はない。まさに跡形もなかった。 
――殺してしまえ。ためらうことなどない。その娘を殺せばお前の願いは成就される。その剣を、その手を血色に染めて叶えるがいい。命の奪われた者共の魂の叫びをその背中に背負い、逃れられぬ悪夢を見る。願いの成就との引き換えにお前の魂の安らぎは永遠に失われる―― 
――それがお前の運命。この世界の命運を握ってしまったものの宿命。さあ、娘の望んだ通りにしてやるのだ。決意が絶望に変わらぬうちに手を下せ。よく聞け、黄泉を封印せぬかぎりこの戦いに終わらぬのだ。情などいらぬ。非情になれ殺意に己が心を染めてしまえ!―― 
「うおおおおお!」 
 雄叫びを上げ、リョウは最後の力を全身に込めて背後の壁を頼りに立ち上がった。リョウにできることはもはやたったの一つしかなくなっていた。右手に握り、床に垂らしたままだった剣を体の正面まで持ち上げる。それと同時にリョウは鋭い目線でティアを睨み付けた。ティアはそれに答えるかのように首を傾げて、目尻に涙を浮かべて微笑んだ。両腕を広げてリョウが来るのを待つ。無論、それがどういう結果を招くものなのかはティアが最もよく判っていたに違いない。 
 リョウは剣を体に直角に構えて一歩を踏み出した。それは破滅への一歩なのかもしれない。リョウは目から暖かいものが流れ出してくるのを感じた。それでも、後へ引くことはできぬのだ。 
〈そうはさせるか!〉 
 逆に驚いたのは黄泉だった。予想外だった。ティアがこの儀式の間に現れてから幾度か好機があったにもかかわらずすぐに手を下さなかっため、リョウはティアの命を奪うことはできないと判断したのだ。それはどうやら外れたらしい。人間とはときに思わぬ行動をとるものだ。 
 一瞬後、リョウの握ったリーフの剣がティアの腹を貫いていた。ティアの苦痛の悲鳴がリョウの耳元で聞こえ、それがいつまでもリョウの耳の中でこだました。 
「許してくれとは言わない。……あの世で皆で待っていてくれ。全部片付いたら必ず行く」 
「あ……あ、あうぅ。……こ、これでいいの。……よ、黄泉は……封印の底に帰る……」 
 根元まで深々と刺さった剣からはティアの暖かい血が大量に滴り落ち、リョウの手を血色に染めた。その血がくぼんだ封印の石盤に流れてゆく。ティアの体を永遠に離れた清らかな血液は封印の鍵となり、ヒビのいった封印の石盤を白い光に包みながら修復していく。もう、これは黄泉にも止められぬのだ。魔力の弱まる新月と言えど、鮮血を吸った封印は最大の効力を発揮する。一度、発動した封印の石盤は黄泉の闇の魔力を吸収し始める。 
〈お、おのれ、何故、貴様はその娘の命を奪えたのだ。貴様は何故、その娘を殺せた〉 
「知らないね」冷たくリョウは言い放った。「その訳でも考えて、封印の底で眠ってな、今度のように退屈しなくて済むぜ。お前の言う人間ごときに封印されるのだからな。……神でもない。悪魔でもない。たかだか人間風情に封印されるのだからな」 
〈――これで終わったと思うな。お前ら人間に邪の心があるかぎり私は復活できるのだ。終わらぬぞ。全ての人間どもから欲望が消えぬかぎり、私は蘇る。幾度でもな〉 
「そうなればクレアの一族が再びお前を封印するまでだ。――黙って消えろ、黄泉」 
〈おのれ、覚えておけ。必ず後悔させてやる〉 
 その言葉を残して黄泉は封印の石盤に呑まれていった。同時に石盤を包んだ白い光も消え、封印が解けたときにできたひび割れも完全に消えていた。残ったのは石盤に流れ込んだ大量の赤い血と四つの亡骸。それだけがそこで繰り広げられた血にまみれた戦いの跡を示していた。どうして、こんなにも多くの犠牲が出たのか考えても見るが、今更考えても手遅れのようだった。 
 リョウはティアの死体から剣を引き抜いた。それから、リョウはティアを抱き抱えると静かに床に下ろし、胸の上に手を組ませた。自分の思いをリョウに託した同志の一人。親友だと思っていたフェイ。命に代えても守らなければならなかったはずのシャロン。そして、向こう側の地下牢にはリーフが覚めぬ眠りについていた。軍団長もピクサスすらも黄泉の犠牲者というべきなのだろう。シャリアン城で生き残ったのはリョウだけなのだろうか。 
――お前がこの世を制した新しき覇者なのだ。シャリアンを冥府への道から引き戻し、この世を平定に導かねばならない。束の間の休息だ。再び、お前は女神の血を引くものを従えて戦いに赴かねばならない。それがお前に与えられた宿命だ―― 
 リョウは傷付いた体を引きずってシャロンに近付いていった。この中でもシャロンは生きていてくれそうな気がした。首の傷が浅ければひょっとしたら助かっているかもしれない。伝説の通りになるのならシャロンかティアどちらかが生きていることになる。いや、ティアが死んだ今となってはシャロンが生きていなければならないのだ。伝説を信じてみたくなった。 
「……シャロン、シャロン」 
 シャロンの頬を叩きながら名を呼んだ。頬はまだ暖かい。リョウは期待した。 
「……う、うん……誰、私を叩くの……」シャロンは身をよじってリョウの手をかわそうとした。シャロンの首筋の傷は浅かったのだ。ピクサスは首を深く切るだけの勇気がなかったのに違いない。それがもしかすると黄泉の封印を完全には解かない要因になったのかもしれない。だから、黄泉は彼自身の言う人間ごときなどに封印されてしまったのだ。これはある意味で不幸中の幸いと言うしかなかった。ピクサスの優柔不断さがシャリアンを救っていたのだから。 
「リョウ? 私、生きているの?」すっとんきょうな声をシャロンはあげた。 
「ああ、生きているよ。夢なんかじゃあない、君は生きているんだ。……ファメルに帰ろう」 
 リョウはシャロンを壁に括り付けていた鎖を剣で打ち付けて千切ると、シャロンを抱き留めた。 
「でも、リョウ……」淋しげにシャロンは言った。「ホントは、もう、私、ファメルに帰る場所はないの。ここに連れて来られるとき、お父さんもお母さんも殺された……。だから、私には行き場がない。お願い、何でもするから一緒にいさせて。足手まといにならないようにするから」 
「ああ、いいさ」 
 努めて明るくリョウは言う。しかし、リョウの心の傷は癒されることはないのだろう。どんなに明るく振る舞ってみたところで、彼の身近にいた三人の命が戻ることは二度とないのだから。 
「その代わり、埋葬が済んだら、俺の珈琲三昧につきあってもらうぞ。もう、一日以上一杯も飲んでいないからな、禁断症状が出てきた。このままでいったら何をしでかすか判らなくなりそうだ」
 シャロンはにっこりと笑うと黙って頷いた。 

『三度、封印の弱まりしとき、黄泉はその傀儡を遣わし鍵の娘を生贄とす。それは邪悪と暗黒の支配する混沌の時代の幕開けなり。霸王は娘の命の鍵となり、再び世を平定する劫火のごとし光を手にする。熱き深紅の精神を宿らせる光の煌めきは邪を討ち滅ぼす最後の砦なり。その者の名をリョウという』 
 伝説の通りであるならば、この物語はまだ始まったばかりなのだ。