12の精霊核

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--. intermezzo 3(知っていいこと、悪いこと)

 あの日、あたしはリボンちゃんから“真実”を聞いた。何か、イベントがある日には良く思い出すんだ。知っていいこと、悪いこと。そんな風に言ってたよね、リボンちゃん。あ〜。今日はデュレの卒業式で、主席なんだわ、これが。あたしは次席だったのに。悔しいっ、ちくしょう! これも知らなかったら、気持ち安らかだったんだけどなぁ。デュレのことだからどうせ自慢するんだろうけど。はげ爺はニッコニッコしてたしね。あたしの時はムス〜ッてしてたくせに。
 そうじゃなくて、その時、リボンちゃんの口から聞いた“残り半分”の伝説はあたしたちの予想を遙かに超えていた。ホントに知らない方が良かったことなのかもしれないと、あたしは思った。だって、衝撃的だと言うたった一言では片づけられないようなことをリボンちゃんは言った。
 心臓が絞り上げられるくらいに哀しい残り半分だったよ。裏切り……か。信じていた人に袖にされるのってどんな気持ち……? キミは父さんとも母さんとも知り合いで、久須那とマリスやレイヴンの狭間に立った時、……キミは言ったね。胸が張り裂けそうだった……って。
 だから、歴史の向こうにその有りとあらゆることが消えてしまえばいいと願ったリボンちゃんの気持ちが痛いほどに胸に響いた。そうだね。あたしたちは何も知らない方が良かったんだ。何も知らないで、ただ、自分の良心だけを信じて、久須那を封印から解き放ち、マリスをやっつけ、レイヴンを懲らしめたら良かったね。何も考えずに、強きをくじき、弱きを助け……のような正義の味方を気取ってさ。そうしたら、あたしたちはきっと何も失わなかったはずだよ。
 でも、きっと、デュレは違う風に言うんだろうな。得たモノはちゃんとあった。うん。ちゃんとあったよ。あたしも判ってる。知らなかったら、見過ごしてそのまま終わったんだろうね。肝心要のキミを残して、終わった気になったんだろうね。けど……さ。けどだよ。後ろ向きに考えるのは嫌い。前向きに考えたい。いなくなったものより、いるもののことをってキミなら言うよね。それでもあたしは思った。リボンちゃん、もう一度会いたいよ。キミのふさふさの毛並みを感じて、咆吼みたいな笑い声を聞きたい。ずっと、待ってる。

Aries 1,1517 今日はデュレの卒業式。クリルカの耳長亭で祝賀パーティ! セレス。